金沢でフランス語、英語、美術を学び、ナンシーへの留学を目論む、はぐれ医学生のブログ。至高にして究極の人形を生みだすために奮闘中。 急げ!人生には学ぶべきことが多すぎる。
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書評 佐藤友哉「灰色のダイエットコカコーラ」講談社
支配者、勝利者、略奪者たる「覇王」になることを夢見、普通に生きている人々を「肉のカタマリ」と呼んで蔑む北海道の田舎町に住む19才フリーターの青年のお話。

平凡に生きることに恐怖し、何かしなくては、何者かにならなくては、と焦る主人公。
才能も学歴も財力もないくせに口先とプライドだけは一人前。東京に強い憧れを持っているくせに独りで上京することもできない臆病者。心の支えは町の建築業界を掌握していた祖父と焼身投身自殺を果たした友人。平凡で退屈な他人を貶めていないと、否定していないと、そうやって自分こそが「覇王」になる選ばれた人間だと信じていないと、根元からポッキリ折れてしまう。やたら「覇王」を目指しているくせに、本人でさえそれが具体的に何を意味するのか、どうやったらなれるのか、全くわかっていない。他人にとってはそれはロックミュージシャンかもしれないし、宇宙飛行士かもしれないし、小説家であるかもしれない。しかし彼にとっては中身がすかすかの、目標にすらならない、いつか自分がなるはずの何かでしかない。

彼ほどではなくても、自分を特別視しないでいられる人間はいないだろう。子供のころは誰も疑いもしないことなのに。大人になっていく段階で進学、就職、結婚、出産、定年etc…のイベントに呑まれ、妥協か諦めか順応かいつのまにか「肉のカタマリ」に分類されてしまう。凡百の幸せを見つけてしまう。幸せを受け容れてしまう。そうやって敗北しなければ、ひっそりと山奥で隠遁生活を送るか、いつかはいつかはと念じながらフリーターを続けるか、猟奇的な事件を起こして新聞に載るか、若くして病死するか自殺するか、結局「覇王」とは程遠い地点に着地してしまう…。

著者の作品は半分以上読んでるし結末も予想できるものだったが、かなり悲しい話だった気がする。わしも「肉のカタマリ」になるなんてとんでもない!と考えてる一人だが…。こんな考えはさっさと捨てるべきなのだろうか?「覇王」を目指す道は幸せ0%なのか?
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