金沢でフランス語、英語、美術を学び、ナンシーへの留学を目論む、はぐれ医学生のブログ。至高にして究極の人形を生みだすために奮闘中。 急げ!人生には学ぶべきことが多すぎる。
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森博嗣の作品としては珍しいラブコメディ。主人公は二十四歳、大学院ドクターコース在籍の窪居佳那。酒を飲むと性格が豹変し、しかも気づいたときには記憶が残っていない!という困った体質の持ち主。文章は常に彼女の一人称なので、無意識のうちに何が起こったかを追うところにミステリィの味付けがされている。しかし最大の謎は彼女が誰と付き合うことになるのか?である。後輩の爽やか青年・鷹野。人形オタク・水谷。指導教官・相澤。父の知り合いの僧・武蔵坊。毎夜公園で犬の銅像を磨く話したこともない男。それとも、やる気0で参加した合コン相手?逆に彼らが佳那のことをどう思っているのか、も気になる。あんまり物語世界に馴染んでて忘れがちだけど、人間は一人称の世界しか生きることができない。そう考えるとすべての恋愛沙汰はミステリィだと呼べるだろう。
主人公の心象と観察だけで進む一人称の物語は、主人公を好きにならないと読むのが苦痛になるものだ。佳那の恋愛観は共感できたのでそんな心配はなかった。
そんな彼女の趣味は「どきどき」の探求。例えばこんな風に。憧れの男性の嗜好を調査し、コンサートチケットの当選ハガキを捏造し、変装して隣の席からひっそりと彼の横顔を眺める……。おいおい、直接誘えばいい話じゃないか、まどろっこしい!とは思わない。恥ずかしいからとか断られるのが怖いからという理由で誘わないのではなく、極上の「どきどき」を味わいたいがためにあえてそうするのだ。誘うか?誘わないか?の二択しかないと思い込みがちなところで、もう一つの選択肢を練りだした彼女はエライ! |
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